エアコン
まずは公式の案内
『8 UR都市機構への「願出」・「届出」』 内の「(2)住宅の模様替え申請等」に含まれている。
UR賃貸のエアコン事情
エアコンが備え付けられていない物件が結構多い。逆に言えばエアコンを自由に選択できるということではある。
民間賃貸住宅で、非常に古いエアコンの電気代などに苦しめられた人も少なくないだろう。
しかし、エアコン設置に当たってはいくつかの注意がある。
URが予め設置しているエアコン用設備は1箇所だけ(の事が多い)
多くの場合は居間にあたる部屋に用意されている。他の場所に取り付けたい場合は、そもそも取り付けられるかを含め、いくつかの確認や申請が必要になる。
設置が困難な部屋がある
エアコンの室外機はベランダもしくは専用の室外機置き場に設置することになる。
ベランダに面しておらず、室外機置き場もない部屋への設置は困難である。
実際に窓用エアコンで妥協する住民も多い。でも壁掛けエアコンの設置は不可能ではない。
エアコン設置の仕方
条件別に設置の仕方を書いていく。
URへの申請の出し方
模様替え申請などは、団地の場所に応じた住まいセンターに行って、申請書を書くことになる。
URの契約書を忘れずに持って行くこと。本人確認書類として使われる。
設置用の設備がある場合
これらが揃っている場所には、特に苦労なくエアコンを取り付けられる。
- 「エアコン用コンセント」と書かれたコンセント
- 室内機固定用のアンカー(公団ボルト)
- 貫通スリーブ(エアコンの配管を通す穴)
- これがない場合は換気小窓などに配管を通すか、自己負担で貫通スリーブを設置する必要がある。
エアコン自体の取付はURへの申請は不要である。ただし、200Vコンセントへの変更だけはURへの模様替え申請が必要となる。もっとも、200Vコンセントを使うような大出力のエアコンはまず必要ない。
設置工事はどこの工事業者を使ってもよい。
ただし、配管に化粧カバーは取り付けないこと。原状回復の負担が増えてしまう(UR賃貸では退去時にエアコンの撤去が必要)し、何より外壁へのネジ打ちは基本的に認められていないのでトラブルの原因となる。
「エアコン用コンセント」がない場合
どう見てもエアコン用としか思えないコンセントがあるが「エアコン用コンセント」という表記がない場合は、URに申請して「エアコン用コンセント」への交換をしてもらう必要がある。
この工事費用はURが負担してくれる。
公式の案内: エアコン用コンセントの取扱いについて
設置用の設備がない場合
自己負担で先の「設置用の設備」を用意することになる。工事の前にURに模様替え申請を出す必要がある。
工事は原則として日本総合住生活(以下JS)に依頼する。要するにURのファミリー企業である。これにより、原状回復が不要となる。
手順としては以下のようになる。
- URに模様替え申請を出す
- 自宅に「模様替え等許可書」が届く
- JSに工事の依頼をする
- JSが工事を行う
- 任意の業者にエアコン自体の設置工事を依頼する
参考: UR賃貸住宅向けアラカルトリフォーム
JSへの依頼はこれに記載されている各工事と同じ方法で行える(エアコン用設備の案内は記載されていない)。
ベランダや室外機置き場がない部屋への設置
何はともあれ、どこかに室外機を設置しなければならない。
一部の団地では、1階や2階の住民が、地面に室外機を設置している光景が見られるが、これは現在ではまず許可されない。
つまり、基本的にはベランダに室外機を置き、そこから部屋をまたいだ配管を通して室内機に接続することになる。
このような工事は「室内配管」と呼ばれる。エアコンの工事業者によっては断られるので注意が必要だ。
室内配管の注意点
配管を固定するには、配管固定用の部品を壁にネジ留めが必要になる。
URでは木造部分への釘やネジ打ちは申請不要かつ原状回復不要と案内されている。ただし、一部の壁や梁は木造ではなく、コンクリートに壁紙を貼っただけの構造になっている。そこには釘やネジを打つことはできないし、もちろん配管を通すための穴を開ける事もできない(外壁への貫通スリーブの設置は例外)。そのような場所を巧妙に避けながら、配管を通したり固定したりする必要がある。
(もっともエアコン配管ほどの大きな穴は原状回復の対象になる可能性が高い。退去の度にいちいち原状回復して次の住人が穴を開け直すことになるのだろうか🤔)
エアコン工事業者も壁の判別に慣れているとは限らない(集合住宅で室内配管はまずやらない)ため、事前に自分で確認しておくことが望ましい。手で叩けば簡単に判別できる。
また、室内機のドレン(排水)は下り勾配にしないと流れない。室内機から室外機までが遠かったり、途中に梁があるなど、どうやっても勾配を確保できない場合がある。このような場合は台所の流し等にドレンを流す工事が必要となる。
そして、配管が長くなるため、工事費が高額になる。エアコン本体より高くなることも珍しくないので覚悟が必要である。
URへの申請
この状況において最も注意が必要なのは、模様替え申請の門前払いである。
住まいセンターの職員によって、このような条件での設置可否の判断が一定ではないためだ。URもこのような部屋へのエアコンの設置を公然と認めているわけではないようである。
エアコンの設置方法(室内配管)のやり方を説明できるようになっておくことが望ましい。そこまでできなくても工事業者のお墨付きはもらっておく必要がある。
曜日を変えて何度か通う必要があるかもしれない。
実際の工事
模様替え申請が通れば勝ったも同然である。あとは#設置用の設備がない場合の通りに工事を依頼すればよい。
マルチエアコンの使用
ベランダがなく、室外機置き場も余裕がない場合は、マルチエアコン(1台の室外機に複数の室内機をつなぐエアコン)を使う手もある。 ただし下記の注意が必要。
- 電源の取り方が異なる
- 大半のマルチエアコンの電源はコンセントではなく、直結(ブレーカーから室外機まで直接電線をつなぐ)である
- ついでに間違いなく200V電源が必要
- つまり、JSに200Vコンセントを設置してもらった後に、このコンセントを加工して電線を取り出す工事が必要になる
- 結局室内配管は必要
- 家電量販店では基本的に扱っていない